検事と関わる職業 検察事務官や警察官、相対する弁護士

協力し合いながら働く職業

検事の仕事はかなり広範囲に及び、仕事量もその複雑さも相当なものがあります。それぞれの事件に関係する警察から上がってくる捜査資料はかなりのボリュームですし、検察庁で作成する供述調書を始めとする書類もかなりあります。他にも、取り調べや関係者との連絡、刑罰の執行などの仕事があり、毎日休む間もないほどのハードワークとなることも珍しくありません。

こうした検事の仕事を支えているのが「検察事務官」と呼ばれる人たちです。この職業は、検事のあらゆる面でのサポートをする役割を果たします。異なる部署に分かれていて、それぞれの部署で行うことは違うのですが、供述調書の作成や取り調べへの立ち合い、資料の確認作業や裁判所へ提出する資料の作成などを行います。また、警察を始めとする関係各所との連絡係を務めることもあります。検察事務官なしでは検事はスムーズに仕事ができませんので、かなり重要な働きをしています。

検察事務官と同じくらい密接に働くのが警察官です。警察との連携も検事にとっては大事な業務です。警察官との関わりは非常に深く、それぞれの事件について捜査資料の提供を受けたり、細かな点における確認作業を行ったりします。また、裁判においては警察官が証人として出ることもありますので、裁判のための打ち合わせをすることも多々あります。

裁判で検事と関係する職業

検察事務官や警察官は、検事と共になって刑事裁判を進めていくいわば仲間のようなものです。一方で、検事が相対するのが弁護士です。検察官は被疑者の罪を確証するために裁判を進めますが、弁護士はその逆で被疑者の利益となるように働きます。そのため、お互いに有利になるように証拠を集め提出します。その上で、検事は被疑者の罪を証拠立てるための陳述を行ったり、弁護士が提出した証拠や陳述への反対意見を述べたりします。

こうした検事と弁護士が提出する証拠を見て最終的に判断を下すのが裁判官ということになります。裁判官の心証がどのように動くのかというのも、裁判においてはとても大事な要素となりますので、常に検事は裁判官のことを意識しながら処理を進めていくことになります。現在では裁判官ではなく、一般人が裁判員として判決を下すことも多くなっていますので、検事としてはこうした人たちとの関わりも大事なものとなっています。もちろん、裁判官や裁判員とは裁判所だけの関わりということになりますが、検事の仕事を語る上で欠かせない関係性を持っています。

ハードワークとされる検事の仕事、将来性は

毎日たくさんの仕事がある検事

検事の仕事は、刑事事件のすべてを扱うというものです。刑事事件がなくならない限りは検事の仕事もなくなることはありません。それは残念なこととも言えますが、現実のことで常に検事の仕事はたくさんあります。公務員ということで、本来なら決まった就業時間と勤務日の中で働くものですが、残業なしで働いている検事というのはまずいないと言っていいでしょう。それだけ毎日の仕事量が多いのです。これは地域によって変わりはあまりなく、どの地方検察庁でも相当な量の仕事があります。

検察官の数は少なく、年間で新たに任官されるのは100名以下ということがほとんどです。それだけ重要な責任を担っているということですが、一人一人にかかる負担が大きいというのも事実です。検事には個々に検察権が与えられていますので、それぞれの裁量に任されているところもかなり大きくなります。その権限を間違いなく果たすためにも、手抜きすることなく真摯に働いていく必要があるのです。国の治安に関わる重要な仕事をしているという自覚を持っていますので、たとえ仕事量が多く大変でもやり遂げる決意が求められると言えるでしょう。また、個々の検察官に権限が与えられていると言っても、検事が暴走することがないよう、上司がきちんと監督をする仕組みが作られています。捜査方針を決めることなど、毎回上司の決済を得てから物事が進むようになっています。

変わらない必要がある検事という仕事

検事の責任は非常に大きく、世の中から刑事事件がなくならない限り続くものです。そのため、この先もずっと検事という役割が必要とされることは間違いありません。もちろん、組織の構造改革などがなされて、検事の仕事の仕方や裁判への関わり方などが変わる可能性はないとは言えません。しかし、検察権そのものが大きく変わることはほぼないと言えますので、これからも大きな責任と権限を持ちつつ責務を遂行していくことになります。

現状ではかなり仕事量が多くハードワークとなっている面もあります。そのため、より業務の効率化が進められることもありえます。こうした動きによって、さらに検事の仕事を正確かつスピーディーに行っていけるようになれば、心身の負担も減っていくことでしょう。公務員ということで雇用が安定しているというメリットと共に、働きやすい職場として変化を遂げていくことが検事の将来性に大きな影響を与えることになります。

検事の1日の過ごし方 検察庁と裁判所での仕事

検察庁内での仕事と裁判所での裁判がほとんど

検事には刑事事件全般を指揮する権限が与えられていて、事件の捜査をすることもあります。しかし、実際に事件現場に行って調査をしたり、証拠を持つ関係者のところに行って聞き取りを行うということはほとんどありません。警察がこうした捜査を行い、上がってきた証拠を書類上でチェックして、不明な点があれば警察などに確認するというのが通常のやり方です。また、被疑者の取り調べも基本的に検察庁で行うことが多いので、検事の仕事の多くは検察庁内でなされることになります。

事件が裁判となり、実際に公判が開始されると裁判所での仕事が始まります。今までにまとめた資料などを持ち、裁判所で陳述を行うことになります。一つの事件にかかる時間としては、圧倒的に検察庁内での調査や取り調べなどが多く、裁判所での陳述というのは全体的に見ると少ないものとなります。

夜遅くまで働くことも多い検事の毎日

検事はあくまで公務員ですので、基本的にきちんとした就業時間が決まっていますし、土日は休みとなっています。しかし、実際のところ事件が立て込んでいたり、複雑な案件だったりすると、夜遅くまで仕事をしたり、休日もいろいろな処理をしないといけないこともあります。検察官はそれぞれに独立した権限が与えられていますので、各自で判断してどのように仕事をしていったらいいかを決めていくことができます。時間配分や仕事の仕方はそれぞれの検事によって異なるのです。

たとえば、朝8時に出勤して進行中の刑事事件の記録をチェックして、警察からの情報を確認するという仕事を行います。それを見ながら、捜査方針を決めていきます。この際、全体の流れをスムーズにするため、直属の上司の決済が必要となりますので、資料をまとめて上司の判断を仰ぐための時間を取ることになります。すぐに決済が出ないこともありますので、その都度記録を確認しながら、捜査方針を修正していきます。こうしてできあがった捜査方針を他の部署と共有していきます。

午後の時間には、被疑者の取り調べを検察庁内で行うこともあります。それぞれの事件によって取り調べの時間は異なりますが、何時間もかかるのが普通で、午後の時間をかなり使うこともあります。取り調べによって得られた供述を、供述調書にすることもその日のうちになされます。こうした処理をしていると、かなり遅くなり夜の時間となることも珍しくありません。こうして検事の一日が終わります。

検察官になるには?司法試験以外のルートでも検事を目指せる

司法試験に合格することから

検事になるためには、まず司法試験に受かることが一つの条件となります。この司法試験を受けるためには、いくつかの条件を満たさないといけませんので、まずは受験資格を得ることから考える必要があります。基本的に司法試験の受験資格は、大学を卒業後、ロースクールに通い修了することによって満たされます。もう一つの条件は予備試験と呼ばれる試験にパスすることです。この予備試験とは、ロースクールを修了した人と同等の能力を持っていることを証明するための試験です。高校を卒業していなくても、大検をパスすれば大学に入れるのと同じ理屈だと思えば理解しやすくなります。

司法試験に合格したら、司法修習という法曹界の実地研修があります。そこでは、弁護士や裁判官としての仕事を体験すると同時に、検察庁に入って検事の仕事も体験できます。その修習中に検事になりたいという意欲があるようであれば、先輩検事たちにその旨を伝えておくことが大事です。検事は法務省に所属する公務員ですので、その後任官試験を受ける必要があります。そこで採用が決定すれば、晴れて検事として働くことができます。

司法試験以外にも検事になれる

上記のルート、つまり司法試験を受けて採用されることによって検事になるというのが通常の方法です。しかし、検察庁の中には副検事と呼ばれる人たちもいます。この検事の種類は、司法試験を通っていなくてもなれる職種です。主に検察庁で検察事務官として働いてきた経験を持つ人がなれるものです。法務大臣によって任命される検事の種類で、ある一定の要件をクリアすれば副検事として働くことができるようになります。その後、副検事として3年間以上活躍し、試験に合格すると特任検事と呼ばれる種類の検事になれます。このように、検事と一口に言ってもいくつかのクラスがあり、なり方も違うのです。特にこの副検事や特任検事は、司法試験と通らなくてもなれる特殊な方法と言えます。

検事として働いている人たちの中では、異なる役職が存在します。区検察庁のトップは上席検察官と呼ばれます。そして、地方検察庁のトップが検事正、そのナンバーツーが次席検事となります。これらの区検察庁や地方検察庁をすべて監督する、検察庁のトップとなるのが検事長と呼ばれる役職です。検事長は内閣の任命によって決まり、天皇の認証がなされるという行政、司法の分野において非常に高い立場になります。

検事の役割とは 犯罪捜査権限、国の代理人として働くことも

刑事事件の扱いを主導する役割を果たす

検事もしくは検察官は法務局に所属する公務員で、所属上は行政官としての立場にいますが、司法機関の一員として働くことが多く、司法の役割も果たしています。刑事事件において主導的な役割を果たし、大きな権限を持っています。

まず、犯罪捜査を行う権限を与えられていて、警察とは別に様々な事件の捜査を行うことができます。特に政治犯や大きな経済事件など、社会的な影響を及ぼすことが多い事件の取り扱いが多く、ニュースでも大々的に取り上げられることがあります。さらに、自ら捜査した事件や警察が捜査を行った事件についての公訴、つまり刑事裁判にかけるという役割も果たします。これは基本的に検事だけがすることができるものですので、特に重要な働きをする場面だと言えるでしょう。

そして、刑事裁判の結果有罪となった場合、その刑罰を執行する段階を監督するという役割も果たします。直接刑罰を下すというわけではありませんが、その監督権限を持ち執行官としての務めも行うのです。このように、刑事事件においては捜査から執行、つまり最初から最後の段階まで強い権限を持ち主導するのが検事の役目と言えます。

独立した権限を持つ検察官

検事は検察庁という法務局の下にある部署に所属しています。そして、検事は検察権と呼ばれる権限を持っています。これは上記に代表される刑事事件に関係する動きを主導し、その責任者として働くという権限です。この検察権は検察庁という一つの部署に集合的に与えられているのではなく、検事各自に付与されているものです。つまり、一人一人が独立した権限を持ち、ある程度自由裁量を持って務めを果たすことができるという特色を持っているのです。この点で、強い権限を持っている公務員として検事は特殊な存在と言えるでしょう。

国の代理人として働くこともある

検事の働きとしては検察権を行使して刑事事件を扱うのがメインですが、他にも国の代理人として裁判を行うという役割もあります。それは、行政訴訟や国家賠償請求訴訟がなされた時です。市民が原告となって国を相手取って裁判を起こす時、検事が国の代理人として働くことになります。特殊な事案ではありますが、検事がとても大きな責任を担っていることを実感させる一つの例だと言えるでしょう。他にも、行政面での仕事を行うことがあります。その場合は、法務省の職員という立場で責任を果たすことになり、様々な業務にタッチします。